面接・論文対策~最前線の市職員から見た「これからの地方行政のあり方」~

私は現在、市の課題を総合的に解決する部署にいる。

市役所だけでなく、国の財務省や県庁など多くの行政機関と関わることで
今後の地方行政に求められているあり方を勉強できたので
これから公務員の面接・論文を控える受験生に是非読んで欲しい。

本日、解説する項目は以下のとおりである。

[color color=”red”]1.定住人口ではなく、関係人口を増やす
2.協働から総動のまちづくりへ
3.民間の競争原理を活用した地域貢献
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上記の項目に沿って、今後の地方行政に求められている政策を解説する。
受験雑誌や参考書にはあまり書かれていないネタなので
論文や面接の際に。他の受験生と差別化することに活用して欲しい。
もちろん、単なる受験対策ではなく、これから解説することは行政マンとして
求められている根本的な考え方を身につける練習になる。

1.定住人口ではなく、関係人口を増やす

今は日本は人口減少時代に入り、
どこの自治体も定住人口の増加に努めている。
定住補助金制度や、空き家の紹介斡旋を積極的に行っているが
過疎地などに位置する自治体は定住人口を維持することが非常に困難となっている。

定住者を増やすことが厳しいなら、観光客の増加を図ることも考えられるが
観光資源が乏しい自治体ではそれすら難しい。
そこで、考え出された方法が「関係人口の増加」である。

関係人口とは、その字のごとく
特定の市町村に関係する人のことである。

例えば、特定の自治体のボランティアに関わっている人・観光客だけでなく
特定の自治体の会社に勤めている人などである。

そういう人たちの数を総称して関係人口と呼んでいる。

関係人口が増えることで、特定の市町村での行事が活発化する、経済が循環するなど
多くのメリットがもたらされる。

では、関係人口を増やすために
自治体はどのような政策を実施しているだろう。

政策の一例として、「ふるさとサポーター制度」が挙げられる。

この制度は、市外などに住んでいる人もサポーターとして加入し
特定の市の行事ボランティアに参加する、自分たちの特技を生かして地域振興活動を行うという
制度である。

自治体によっては、サポーター名刺配布や活動資金補助も行っている。

この制度によって、関係人口を増加させて
地域活性化を図ることができる。

2.協働から総動のまちづくりへ

協働のまちづくりという言葉は
地方行政を勉強しているとよく耳にすると思う。

市民と行政が協働して、まちづくりを行うという意味だが
実際は行政が主体で、市民がサポート役が多い印象を受ける言葉である。

実際に、これまでは行政が市民活動の初期段階を支援して
自立できるまで行政がその市民活動を支えるというスキームが主なものとなっている。

しかし、人口減少が著しい地域にとっては
公共インフラだけでなく、福祉委員などの地域を支える人材が
急激に不足することになる。

これまでは、町内会や婦人会、消防団など
各市民組織・団体が別々に活動していることが多かったが
現在の組織体制では、行政がサポートしなければ、
地域課題の解決を図ることができないことが多い。

そこで、小規模多機能自治という考え方を平成31年4月から富山県南砺市で実施する予定になっている。

小規模多機能自治とは、町内会や婦人会、消防団など各市民組織・団体を統合して
一つの大きな市民組織を作り、市民自身で地域課題を解決できる体制をつくることである。

現在、注目を浴びている考え方であり
今後、成功するか行政にとっての試金石となる。

3.民間の競争原理を活用した地域貢献

この項目は財務省の方と話してでてきたことをまとめている。

行政のスリム化という言葉をよく耳にすることが多いと思う。
これまで多くの公共施設を運営したきたが、赤字の施設の統廃合をして
無駄をなくす意味で使われている。

そして、近年は無駄をなくすだけでなく、民間事業者が持つアイディア・活力を発揮する仕組みで
新たな施設を開業する事例が徐々にスタートしている。

具体的には、設計・建築・維持管理まで一貫して発注するという方法である。
これまでは、設計はA社
建築はB社
施設の維持管理はC社と別々の事業として発注する仕組みとなっていたが

それでは、コスト削減の意識が働きにくい側面があった。
また、民間事業者が自分で工夫して施設を活用するということもないので
完成時は盛り上がっても、その後利用率が伸び悩むことが多かった。

そこで、設計~維持管理まで一貫して発注して
施設の集客を図る業務も委託して
民間事業者が頑張って成果を出せば出すほど
多くの利益が得られる仕組みにするという考え方がある。

この考え方によって道の駅で継続して集客に成功している事例がある。
施設運営においても、50億円ほど費用削減できた事例がある。

今後、確実に地方行政に浸透していく方法である。